2024.09.09
爪白癬治療薬 ネイリンの勉強会を行いました
先日爪白癬(爪水虫)の治療薬ネイリンの勉強会を行いました。
爪白癬は痛くもかゆくもないため、放置されていることが多い疾患です。
こんな爪の方、いらっしゃいませんか?
見た目だけでは爪白癬は診断が難しく、専門的な病名で言うと爪乾癬、爪扁平苔癬、外力による爪甲肥厚の可能性もあります。
爪白癬かどうかは顕微鏡で検査をすることができます。(検査キット、真菌培養による診断も行われます)
きちんと検査して、適切な診断・治療を受ける必要があります。
もし心当たりのある方がいれば是非皮膚科を受診ください!!
爪水虫の治療法には「飲み薬(内服)」と「塗り薬(外用)」があります。薬の有効成分によって健康になった爪が、白癬菌に感染した爪を先端に押し出すことで治っていきます。
ですので、治療期間は足の指の場合半年から1年とお話しすることが多いです。
🔷内服🔷
薬を飲むと、有効成分が血液により爪まで運ばれて、皮膚や爪の内側から効果を発揮します。ガイドラインでは内服の推奨度は
A「行うよう強く勧める」とされています。
内服薬のネイリンによる完全治癒率は59.4%、有効率(30%以上の改善)は95%です。
内服はネイリンであれば12週間(3ヶ月)、テルビナフィンであれば6ヶ月から12ヶ月程度の服用が必要です。まれに肝障害や血球減少の副作用が起こるため、服用期間中は初回、その後は何度かの血液検査が必要となります。
代表的な内服薬としてはラミシール(テルビナフィン)、イトリゾール、ネイリンがあります。ネイリンは12週間内服することでしばらく爪に有効成分が留まるので、3ヶ月でいったん治療終了となります。
🔷外用🔷
爪の表面に塗ることで、有効成分が白癬菌のいる爪の中や爪床(爪の裏側)まで浸透し、効果を発揮します。
ガイドラインでは推奨度はB「行うよう勧める」とされています。
手軽な方法ですが、爪の生え変わるまでの期間、毎日塗り続けることが必要となります。副作用としては接触皮膚炎(かぶれ)があるため、皮膚につかないよう注意が必要です。
ルコナックによる完全治癒率は15%、有効率は30%と内服より低くなっています。
代表的な外用薬としてはクレナフィン、ルコナックがあります。
効果は内服の方が高いですが、デメリットとしては費用が高額になること、複数回の採血が必要になるということが挙げられます。
外用は気軽に始めやすいですが、効果が内服より低いため、一定以上の期間の外用で効果が認められない場合、内服への切り替えも選択肢となってきます。
また、爪水虫が治っても靴などによる変形、爪の分厚さは治すことができないため、そのことには注意が必要です。
当院では治療期間、費用も含め、最初に患者さんに提示させてもらい一緒に治療法を考えていきます。
写真を見て「あれ、もしかして…」と思った方、一度皮膚科受診を考えてみてくださいね。