2022.11.02
50歳を超えたら 帯状疱疹ワクチン接種を
最近新聞やテレビなどで紹介されている帯状疱疹ワクチン、当院で接種を行っています。
帯状疱疹は痛み、赤い水ぶくれが体の左右どちらかに帯状にできる病気で、80歳までに3人に1人が発症すると言われています。強い痛みを伴うことが多く、症状は2週間以上続きます。
帯状疱疹の正体は、小さいときにかかった水ぼうそう、もしくは水痘ワクチン接種後に神経に潜んでいる「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。
このウイルスは、初めて感染したときは水ぼうそうとして発症しますが、治った後も長い間体に潜んでおり、普段は自分の免疫力によって活動が抑えられています。
それが年齢やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが暴れだし、神経に沿って移動し皮膚に到達することで帯状疱疹を発症します。
日本の大人のおよそ9割がウイルスを体内に持っていると考えられているため、ほとんどの方が帯状疱疹になる可能性があります。
発症するのは50代からが多く、7割が50歳以上です。まだまだ元気!!と思っていても、ゆくゆくは帯状疱疹になるかもしれません。
最近になってなぜ新聞やテレビでさかんに紹介されているのかというと。。。
高齢化が進んだことや、2014年から水痘ワクチンが子供対象に定期接種化されたことが原因です。
研究では1997年に比べて2018年にはなんと約6割も増えているそうです!!
それまでは水ぼうそうの患者からのウイルスにさらされて帯状疱疹への免疫が強化されていたのが、定期接種の効果による感染者の減少でその機会が減り、ブースター効果が得られなくなったのが原因です。
また、実は新型コロナウイルス感染後の帯状疱疹が従来と比べ増えている可能性があるのです。
50歳以上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者は、診断後6か月以内に帯状疱疹を発症するリスクが高い可能性があるという研究結果もでています。(グラクソスミスクライン)
当院でも以前から帯状疱疹の患者様はもちろん多いのですが、新型コロナウイルス流行後からやはり増えている印象です。
帯状疱疹が怖いのは、皮膚症状が治った後も何か月も、時には何年も痛みが残ってしまう「帯状疱疹後神経痛」が発症する可能性があるということです。50歳以上では約2割の方が神経痛に移行してしまうと言われています。
また、特に怖いのが顔面に症状が出た場合。
顔面神経麻痺や目の近くに出た場合は角膜炎を起こして視力が下がってしまうことも。
診察させていただくことも多いので、あの痛みはとてもつらいと思います。夜も眠れないとおっしゃる方もいらっしゃるので、当院のペインクリニック外来を紹介することもあります。
帯状疱疹を早く治すには早期発見と早期治療がカギ。あれっと思ったら早めに皮膚科を受診してくださいね。
そんな帯状疱疹を予防するワクチンというのが日本で認められています。対象年齢は50歳以上で、2種類のワクチンがあります。
①子供と同じ水痘ワクチン(ビケン):生ワクチン 1回接種
②シングリックス:不活化ワクチン 2回接種
予防効果は①が50-60%、②が90%以上とシングリックスの方が効果が高く、帯状疱疹後神経痛も①が30%軽減、②は88%軽減を見込めます。また、持続時期間は①が5年程度、②が9年以上となっています。
②の方が効果が高いのですが、筋肉注射ですので痛み、副反応(注射部の腫れ、痛み、倦怠感など)が出やすいこと、2回接種が必要であることがデメリットです。また、価格も①と比べると高くなっています。
持病でステロイドや免疫抑制剤を内服している方や抗がん剤治療中で免疫が低下している方は生ワクチン接種ができないため、②の接種が適応となります。
当院では①②両方の接種を行っています。
値段は①のビケン生ワクチンが8500円(税込) ②のシングリックスが1回22000円(税込)、2回で44000円(税込)になります。
痛い帯状疱疹、予防できるならそれに越したことはありません。
予約制となりますので、ご希望の方は一度当院受診の上ご相談ください。